学習塾を探すときに、集団塾の特徴や集団塾に通うメリット・デメリットについて考えることがあると思います。個別指導塾に通うか集団塾に通うかを判断する際に、集団塾の特徴やメリット・デメリットを理解することは重要です。今回は、集団塾の特徴やメリット・デメリットについて詳しく紹介していきます。
集団塾とは
集団塾とは7人~20人程度の生徒に対して先生1人が集団授業を行っている学習塾のことを言います。また、集団塾の授業は、どの学習塾でもコースやクラス分けがされており、カリキュラムがもともと決まっていることが多いです。
もちろん、集団塾によって授業の時間やレベル、授業の生徒数は違うのですが、それに関係なく集団塾ならではの特徴とそれによるメリット・デメリットが存在します。
以下に、集団塾の特徴とメリット・デメリットを紹介します。
集団塾の4つの特徴とメリット・デメリット
授業の生徒数の規模が大きい
個別指導塾と比べると、どの集団塾でも授業の生徒数の規模は大きいです。これによるメリットはその授業を通して競い合ったり、助け合ったりする友達が作れることです。
たとえば、塾でできた友達と授業中の小テストの点数で勝負して、勉強へのやる気を上げることができます。また、勉強方法や進路などの親や先生に言えない悩みを友達に相談することもできます。
もちろん、このような関係の友達を学校で作ることも可能です。しかし、学習塾という環境の方が勉強の話を友達にしやすいため、友達と競い合えたり励まし合ったりしやすくなるのです。
一方で、授業でつまずいた生徒を先生がきちんとフォローできないデメリットがあります。個別指導と比べて生徒数が多いため、先生は授業についていけない生徒1人1人を教えることができないからです。
また、生徒も授業を止めてまで先生に質問するのは相当な勇気がいるため、授業で分からなかったところを放置してしまいがちになります。
たとえば、生徒10人のうち1人だけ授業の内容を理解できなかった場合、もしかすると理解できなかった残りの1人に先生が声をかけることはあるかもしれません。
しかし、先生はその1人に対してサラッと説明して、次の内容に入ってしまいます。
なぜなら、理解できなかったその生徒が「分かりました」と先生に言ってその場をやり過ごすことが多いからです。その生徒としては、質問したい気持ちがある一方で、「周りの生徒を待たせちゃいけない」という心理から「分かりました」と言ってしまうのです。
このように、集団塾では授業の生徒数が多いため、勉強の友達を作りやすいメリットと、つまずいたときのフォローを受けにくいデメリットがあります。
先生と生徒が緊張感を保てる距離感
集団塾では、学校の授業のように先生が黒板の前に立って生徒に授業を行っています。しかし、学校の授業と比べると生徒数が少ないため、集団塾の方が学校よりも生徒と先生の物理的な距離が近いです。
そのため、授業に緊張感が生まれるメリットがあります。このような緊張感が生まれる理由は、学校よりも先生と生徒の距離が近いため、生徒は学校の授業よりも先生に見られている感じがするからです。
逆に、生徒の隣で先生が教える個別指導のように近ければ近いほど良いわけではありません。生徒と先生の距離が近すぎると先生は生徒となれ合いになり、生徒に厳しい指導ができなくなる恐れがあります。
集団塾の授業での生徒と先生のちょうど良い距離感が、勉強するのに最適な緊張感をもたらすのです。
一方で、先生は生徒のそばにいるわけではないので、先生は生徒がどこでつまずいているかを把握することが難しいデメリットがあります。集団塾の授業では、生徒の表情や鉛筆の動きを見て生徒の理解度を判断するため、生徒が具体的にどこでつまずいているかを認識しづらいのです。
たとえば、生徒が数学のある問題でつまずいても、先生はその生徒が計算ミスをしているのか、解法を理解できていないのかを把握することができません。なぜなら、集団塾では生徒と先生の距離が離れているため、その生徒の解答のプロセスを見ることができないからです。
このように、集団授業では先生と生徒の距離的に、先生が生徒のつまずいている個所を確認しにくいです。しかし、その一方で授業に緊張感が出て、生徒はより集中して勉強することができます。
少数精鋭の先生たち
集団塾では先生1人が多くの生徒に教えるため、先生の人数は個別指導塾と比べて少ないです。
しかし、個別指導よりも集団授業の方が教えるスキルやその教科の知識が必要になるため、集団塾には優秀な先生が多いメリットがあります。実際、プロとして塾講師を本業にしている人の多くは、個別指導塾よりも収入が高い集団塾で教えています。
その一方で、先生の数が少ない分、その先生と相性が合わなかったとしても、先生を代えることは難しいです。
たとえば、集団塾の教室で国語の公立高校受験コースの授業をとって、その授業の先生と合わなかったとしても、他の先生に代えられないことが多くあります。
なぜなら、そのコースをその教室で教えている先生の数が少ないからです。もちろん国語を教えている先生は他にもいますが、他のコースの国語を教えていたり、曜日が違っていたりして簡単に先生を代えることはできません。
集団塾では先生の数が少ないため、先生と合わなかったときに代えがきかないことがありますが、そのぶん実力を持った先生が多いと言えます。
授業の内容があらかじめ決まっている
集団塾の授業は、授業のカリキュラムがもともと決められていて、それに沿って先生が授業を進めていきます。
カリキュラムが決まっていると、メリットとして、その授業を受けて最終的にどのくらいの学力まで伸ばすことできるかが見えやすくなります。そのため、その授業を軸にして受験勉強の計画を決められるので、受験対策に適しているのです。
たとえば、「東大数学コース」という授業が、授業内容を100%理解すれば東大に合格できるようなカリキュラムになっていたとします。
そうすると、「東大合格=その授業についていくこと」になるので、授業のテキストの復習や予習など、やることが明確になるため非常に勉強しやすくなるのです。
しかし、授業のカリキュラムが決まっていると、授業を休んだときに授業についていけなくなるデメリットがあります。カリキュラムが決まっているので、誰か生徒が1人休んだとしても授業の内容は進行していくのです。
もちろん、休んだ生徒に対して課題を出したり、先生の空いている時間で教えたりしますが、それでも休んだ分を集団塾が完全にフォローすることは難しいです。
このように、カリキュラムが決まっていると、生徒が授業を休んだときについていけなくなる可能性があります。しかし、受験対策においては、カリキュラムが決まっていることで生徒は勉強しやすくなります。
以上が、集団塾の4つの特徴とそれによるメリット・デメリットになります。下に集団塾の4つの特徴とメリット・デメリットをまとめてみました
集団塾の特徴
- 授業の生徒数の規模が大きい
- 先生と生徒の緊張感を保てる距離感
- 少数精鋭の先生たち
- 授業の内容があらかじめ決まっている
集団塾のメリット
- 競い合える友達を増やせる
- 緊張感のある授業になる
- 個別指導と比べて先生の質が良い
- カリキュラムが決まっていて受験向き
集団塾のデメリット
- 分からないところを生徒が質問しにくい
- 先生が生徒のつまずいた個所を把握しにくい
- 先生の代えがきかない
- 授業に休むとついていけなくなる可能性がある
上にまとめたように、集団塾には集団塾ならではの特徴とメリット・デメリットがあります。それらを踏まえて、自分は集団塾でやっていけるかを想像することにより、失敗しない塾選びをすることができるでしょう。
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受験勉強を始めようと思って、塾・予備校を調べてみてもどこの塾が自分に合っているのかって分からないですよね?
実は、大学受験で第一志望校に合格するためには、どこの塾・予備校に通うかはそこまで重要ではありません。
というのも、100%合格させてくれる塾・予備校などこの世に存在しないからです。
むしろ、その塾・予備校の授業やシステム、スタッフを使ってどれだけ質の高い学習習慣を身に付けられるかに合格はかかっています。
私は、過去に大学受験の塾・予備校2社で、生徒に指導を行ってきました。その中で、志望校に合格した生徒は皆例外なく、塾・予備校を使い倒すことで、質の高い学習習慣を身につけている人達でした。
彼らは、塾の自習室に毎日通ったり、分からないところを徹底的に講師に質問したりするなど、塾の費用以上に塾に価値を見出していたのです。
ただ、これは塾・予備校にそういった質の高い学習習慣を身につけられる環境があってこその話になります。
第一志望の大学に合格するためにも、まずはどの塾・予備校でどんな授業、どんなサービスを行っているのかを知ることは重要です。それを頭に入れた上で、ここでなら質の高い学習習慣を身につけられると思える、自分に合った塾を選びましょう。