【理科の科目選択】化学・物理・生物・地学 どれが簡単?

大学受験で理科を受験する場合、どの科目で受ければ良いか迷う人は多くいます。たいていの人は、学校の勉強で少しかじったくらいなので、どの科目が自分に合っているのか判断できません。

実際、自分の苦手科目を選ぶ人はあまりいませんが、自分に合う科目を選べずに途中で科目を変えるケースはよくあります。科目の特徴を知らずに自分の力を生かせない科目を選んでしまうと、その分だけ余計に努力しないといけないので、結果として受験で不利になってしまうのです。

そこで、本ページでは化学・物理・生物・地学の特徴について紹介したいと思います。また【理科の科目選択】ケース別おススメ科目の紹介でどの理科科目が良いのかケース別で有利不利について解説もしているので、ぜひそちらもご参考にしてください。

物理・物理基礎の特徴

特徴① 本質さえ理解すれば高得点が狙える科目

理科科目の中で、勉強時間をかけずに高得点が狙える可能性のある唯一の科目が物理です。

その理由は、物理には他の理科科目のように膨大な量の暗記をもとにした知識問題が少ないからです。その代わり、公式などを使って論理的に答えを導いていく問題ばかりになっています。

ただ、公式を使って論理的に答えを出すとは言っても、一つの問題に対して使う公式や知識の数は一つだけという問題ばかりです。そのため、公式などの知識を使いこなす力さえつけば、たとえ勉強時間が少なくても物理で高得点をマークすることができます

たとえば、2017年度のセンター試験の物理では、一つの問題に対して一つの知識や公式で解ける問題が26問中17問もあります。また、どんなに知識や公式を使ったとしても、3つ以上の公式や知識を使うような問題は出題されていません。

このように、物理は、要領さえつかんでしまえば一気に高得点を狙える科目なので、効率良く勉強すれば、他の理科科目よりも点数を簡単に稼ぐことができます。

特徴② 数学が得意なら物理も必ず得意になれるとは限らない

数学ができれば物理もできるといった声をよく耳にしますが、それは半分正解で半分間違いです。たしかに、物理の問題は、数学と同じように問題文から数式を作って答えを出すのが基本になります。そのため、数学が得意な人であれば、物理でも高得点を上げる可能性は高いです。

ただし、いくら数学と物理の問題の解き方が同じであっても、数学ができれば物理もできるという訳ではありません。物理と数学は問題の解き方は同じでも、問題の難しさのポイントが物理と数学で少し違うからです

数学の場合は、問題文にそのまま数式が載っていることが多く、その数式を解いていくプロセスに難しさがあります。

一方で、物理の場合は、問題文を読んで数式を自分で立てなければいけません。実は、物理の難しさは、この立式ができるかにどうかにあります。逆に言えば、立式さえできてしまえば、数式自体は中学生でも解けるような数式なので、簡単に計算することができます。

数学の範囲で似ているものとしては、問題文を読んで自分で方程式を立てるような文章題が物理の問題に近いです。

このように、数学ができれば物理もできるという訳ではなく、問題のポイントが若干ずれています。そのため、数学ができるからといって安易に物理を選択するのは避けなければいけません。

特徴③ 得点は伸びやすいが安定しない

特徴①で説明したように、物理は理科科目のなかでも一番時間をかけずに勉強できる可能性のある科目です。しかし、物理はそういった魅力がある半面、得点が安定しにくいという面もあります。

物理の問題は、大問の中で流れのある問題がほとんどです。つまり、解いた問題の答えを、次の問題の答えを出すときに使うことがよくあります。そのため、最初の問題が分からなかったり、ミスをしてしまったりすると、次の問題も間違えて、その大問を丸ごと落としてしまうケースがよくあるのです。

実際、私が受験生だったとき、物理を受験科目で使ったのですが、簡単に点数が伸びた一方で、本番では点数を伸ばせなかった苦い記憶があります。

私は高3の4月から物理の勉強を本格的に始めたのですが、6月頃には偏差値を45→60まで一気に上げることができました。当時の私は、自分は天才なんじゃないかと本気で思いこんでいました(笑)

その流れでセンター試験では満点を狙うつもりでしたが、本番では分からない問題が出てきて雪崩式に点数を落としてしまったのです。結果として、物理では目標点を大きく下回る点数をとってしまい、物理で点数を稼ぐはずが、逆に足を引っ張る形になってしまいました。

その後の試験でも、満点をとったときもあれば、正答率が3割にも満たないようなときもあり、そのときの入試の難易度に点数が大きく左右されてしまったのを覚えています。

このように、物理は点数を伸ばしやすい科目である一方で、問題が一つの流れになっているケースが多く、一気に点数を落としてしまう可能性をはらんでいます。

化学・化学基礎の特徴

特徴① 暗記すべき量は理科科目のなかで随一

化学の最大の特徴は、理科科目の中でもダントツで暗記すべき内容が多いことです。

化学は「理論化学」「無機化学」「有機化学」の主に3つの分野に分かれます。その中で、無機化学と有機化学の範囲だけで、生物に匹敵するかそれ以上の内容を暗記しなければいけません。

さらに、理論化学もただ計算する分野ではなく、暗記すべき重要項目が多くあります。むしろ、理論化学は無機化学と有機化学につながってくる内容ばかりなので、きちんと押さえる必要があります。

また、暗記すべきことが多いと聞くと、「覚えるのに骨が折れそうだ」と思うかもしれません。けれども、それ以上に大変なことは、問題演習によって、暗記した知識をテストで使えるレベルまで引き上げることです。

たしかに、膨大な量を暗記するのも大変なのですが、覚えたからと言って、すぐに問題を解けるようになるわけではありません。覚えた知識を使える知識に変えていく作業が必要であり、偏差値が上位の大学になればなるほど、その部分で差がついてきます

実際、私も受験生のときに化学で受験をして、身をもって知識のアウトプットの大変さを実感しました。参考書を5,6周して覚えたはずの知識も、いざ問題に出てくると分からないことが多く、演習を何度もやって知識を点数に結びつけたのを覚えています。

このように、化学は知識量が膨大なために、暗記するのと同時に、その知識を使えるようにするための問題演習が重要になります。

特徴② 計算の正確さとスピードが重要

化学の大変なところは、暗記以外に計算のスピードと正確性を問われる点です。他の理科科目と比べても、化学では計算量が圧倒的に多く、計算自体も複雑になってきます

化学の計算問題で特にやっかいなのは、3桁の小数同士のかけ算わり算や、何回も約分や通分を必要とする方程式といった計算です。

しかも、そういった複雑な計算を必要とする問題がいくつも出てきます。そのため、化学受験者のほとんどが、計算に時間をとられて問題を解けきれなかったり、計算ミスで点数を落としたりします。

さらに、計算問題の答えを出すときに「有効数字」と呼ばれる答えの桁数も気にしなければいけません。化学の問題ではいろんな桁数の数字が出てくるので、有効数字の概念をきちんと理解していなければ、正確に答えを出すことができなくなってしまいます。

こういった計算の重要性は、化学基礎よりも化学の方に色濃く出てきます。実際、私立の一般試験や国立の二次試験では、センター試験よりもさらに計算が複雑なってきて、計算だけで8~10分もかかるような問題が出てきます

たとえば、2016年度の東京工業大学の二次試験では、化学の大問5で以下のような計算をして答えを出す問題が出題されました。

この計算の答え4.37g/cm3を出すには、小数3桁のかけ算わり算を行わなければいけません。こういった骨の折れるような計算は、東工大だから出題されているわけではなく他の大学であっても同じレベルの計算を要求されます。

このように、受験で化学を使う場合は、計算問題をいかに効率よく対処できるかも大事になります。計算の工夫や、計算自体のスピードを速くすることが、化学で点数を伸ばせるかどうかのカギになるのです。

特徴③ テストで大崩れしにくい安定した科目

ここまで、化学は暗記も計算も大変な科目だと説明してきました。その一方で、化学は、他の理科科目と比べて点数が安定しやすいのが特徴です。実は、化学で一度高得点をとれるようになると、暗記のケアをきちんと行っていれば、点数が一気の落ちることは滅多にありません。

そのように言える理由は、2つあります。1つ目は、化学の大半の問題は暗記していれば点数をとれる問題だからです。特徴①で、知識を暗記してアウトプットするのが大変であることは話しましたが、逆にそれさえできてしまえば、知識問題ばかりなので点数は安定してきます。

実際、私が受験時代にセンター模試で化学を受けていたときも、初めて80点を超えてからは、その後一度も80点未満に点数が落ちることはありませんでした。

得点が安定しやすい理由の2つ目は、計算問題の計算自体は大変なものの、解法をある程度パターン化できるからです

特に、センター試験レベルの化学では、立式の難しい計算問題は出てこないので、解法を完全にパターン化することができます。そのパターンさえ分かってしまえば簡単に式を立てられるため、ラクラク点数がとれます。

ただ、高校の授業で化学をやった人の中には、化学の計算問題を難しいと感じた人もいるはずです。しかし、それは、その人たちに化学のセンスがなかったから、難しいと感じた訳ではありません

というのも、化学の最初の段階では、「mol」や「分子量」といった化学用語がどんどん出てきます。そういった普段見慣れない化学用語を使って計算をしているので、高校生からすると何をしているのか分かりづらくなってしまうのです。

逆に、そういった化学用語の意味を理解して何をしているのかが分かれば、自分の中で解き方をパターン化できるので化学の計算問題は簡単にとれるようになります。

生物・生物基礎の特徴

特徴① 読解力を必要とするため文系も高得点をとりやすい

生物の最大の特徴は、実験や観察について書かれた問題や選択肢の文が長いことです

センター試験や二次試験にしろ、生物では実験や観察の内容が書かれた長文や図表が出てきます。生物の問題は、それらを基に考察したり、知識を聞いてきたりする問題がほとんどで、その答えとなる選択肢も1つ1つが長くなる傾向にあります。

そのため、他の理科科目と比べて問題文の占める割合が高く、その長い文章を正確に読んで理解していかなればいけません。

実際、センター試験の理科基礎の問題冊子を見てみると、他の科目と比較して生物のページが異常に多いです。さらに、二次試験や私立の試験になってくると、問題文を読むだけで3分以上とられてしまうこともあります

しかし、読解力が必要ということは、裏を返せば、文系の人でも高得点がとりやすい科目であると言えます。しかも、知識をほとんど必要とせずに、問題文を読むだけで答えられるような考察問題も出るため、生物で高得点をとるためには、むしろ国語力は必須です

このように、生物では、問題文を正確に読みこなしていく読解力が必要となり、文系にもチャンスのある科目なのです。

特徴② 計算問題は簡単で問題数も少ない

生物は理科科目であるため、計算が難しい問題がたくさん出るのではないかと思われがちです。しかし、生物の計算問題は全体の1割ほどしか出題されず、しかも問題の多くは、簡単な比の計算です。

生物の問題のほとんどは知識問題であり、実際に点数で差がつくのも計算問題ではなく、知識問題になります。そのため、数学が苦手でなるべく計算の少ない科目をやりたいという人にはおススメの科目です。

もちろん、計算問題がいくら簡単だと言っても、式の立て方が難しい問題もあります。さらに、計算問題が簡単であることから、周りの受験生は計算問題で確実に点数をとってくるため、ミスは許されません

そのうえ計算問題の多くは、配点自体も高い傾向にあるため、生物で高得点を狙うには絶対に落とせない問題になります。いくら数学が苦手で、知識問題が多いとは言っても、他の理科科目同様に、計算問題の演習をきちんとやる必要はあるのです。

このように、生物では計算問題は少ししかなく、問題自体も簡単です。そのため、数学が苦手な人にはおススメの理科科目ではありますが、計算問題は絶対に落としてはいけない科目と言えます。

特徴③ 各分野の知識が独立している

理科の主要教科である物理、化学、生物の中で、知識が各分野でほぼ完全に独立しているのが生物です

物理や化学の場合は、最初に教わる「力学」や「理論化学」の知識が、その後の分野で必要となってきて、知識の積み重ねが大事な科目だと言えます。しかし、生物の場合、各分野の知識が独立しているため、1つの科目に複数の科目があるような状態になっているのです

各分野の知識が独立していることのメリットは、どの分野からでも勉強しやすく、興味のある分野から勉強を進められる点です。

たとえば、多くの学校で生物基礎の最初に習うのは、「生物の多様性」という分野ですが、仮にDNAやタンパク質に興味があるなら、そこから勉強しても問題ありません。興味のあるところから勉強できるので、飽きずに興味を持って勉強しやすいです。

一方で、各分野が独立しているために、他の科目と比べて知識があまり系統だっておらず暗記するのはより大変になります

特に、生物で高得点を狙うには、最終的に知識にどれだけ漏れがないかの勝負になってきます。その場合、興味の持てない分野や、覚えにくい分野でいかに点数を落とさないかが大事になってくるのです。

このように、各分野に関連性がなく、それぞれの知識が独立しているのが生物です。そのため、自分の興味のあるところから始められますが、他の理科科目と比べて、すべての分野を網羅するのが大変であると言えます。

地学・地学基礎の特徴

特徴① 文系で理科を使うならおススメの科目

文系の人がセンター試験の理科基礎で科目を選ぶなら、地学基礎は間違いなくおすすめの科目です。その理由は2つあります。

1つ目は、地学基礎の内容が地球や宇宙、化石のことなど、興味が湧きやすい上に、他の科目と比べて量も少ないからです。

特に、地学基礎の場合は、中身が中学理科の延長であるため、頭に入りやすいと同時に、知識の半分くらいは中学の内容になります。そのため、中学の理科で地層や天体などの分野が得意だった人は、簡単に高得点を狙うことができます。

実際、私が過去に見てきた生徒で、地学基礎を習っていない状態でセンター模試を受けて、4割近く点数をとっている人もいました。

2つ目の理由は、計算問題が他の理科科目と比べて簡単であるということです。地学の計算問題はグラフを読み取って計算する問題が多く、グラフの意味さえ分かれば簡単に求めることができます。

たとえば、2017年度の地学基礎の問題では計算問題が3題出題され、そのうちの2題はグラフから数値を読み取って解く問題でした。このように、文系でセンターの理科基礎を受けるなら、地学基礎は内容も少なくて計算も簡単なため、かなりおススメの科目です。

特徴② 地学を使って受けられる大学が少ない

地学は、内容も簡単で高得点のとりやすい科目であることを特徴①で説明しましたが、デメリットとして地学を受験科目にできる大学が少ないことが挙げられます。

地学を受験科目に使えない理由は、物理や化学と比べて、大学に入ってから地学の知識を使う機会がほとんどなく、受験科目として指定されにくいからです。

実際、地学を受験で使える大学は、主なところで東大や筑波大学の生命環境群(2017年現在)しかありません。また、地学基礎に関しても文系であれば受験科目にできますが、理系の場合、選択不可であることも多いです。

そのため、仮に第一志望の大学で地学や地学基礎が使えたとしても、他の志望大学で使えない可能性もあるため注意が必要になります。

特徴③ 地学や地学基礎の受験者数が少ない

特徴②で説明したように地学や地学基礎を使って受験できる大学が少ないことから、それに伴って受験者数も少ないという特徴が挙げられます。

実際、過去のセンター試験の理科基礎の受験者数(図1)を見てみると、物理基礎についで3番目に少ない科目であることが分かります。

さらに、理科の受験者数(図2)を見てみると、地学の受験者は毎年1000人~2000人程度と棒グラフを確認できないほど極端に少ないことが分かります。

このように受験者が少ないと、2つのデメリットが生じてきます。

1つ目は、問題が他の科目と比べて難しくなったときに、かなり不利になってしまうことです。大学受験は相対評価で決まります。もし受験者数の少ない地学だけが難しくなってしまうと、ほぼ自分だけが不利になってしまうのです。

たとえば、センター試験では科目の選択に有利不利があってはいけないため、平均点が6割になるよう問題の難易度を調整しています。しかし、科目によって多少なりとも難易度に差が出てきてしまっているのが実情です。

そのため、地学を受験したときに、地学の平均点が他の科目より10点低くなった場合、自分だけが10点のハンデを負うような状況になってしまいます。

2つ目は、受験者数があまりいないために、教えられる人が少なく、参考書や問題集の種類も少ないことです。実際、予備校や塾の授業を見てみても地学の講義を開いているところはほとんどありません。そのため、地学の質問をしようにも学校の先生くらいにしか質問できないのです。

また、参考書や問題集にしても需要が少ないために種類が多くありません。そのため、他の科目であれば問題演習をする教材に困らないのですが、地学や地学基礎の場合は、問題演習をする教材がないという声をよく聞きます。

 

以上が、理科基礎も含めた、物理、化学、生物、地学の特徴になります。何の理科科目で受験するか迷っている場合は、まずは上に挙げた各科目の特徴を理解して、どれが自分に合っているかを考えてみましょう

自分に合った科目を見つけることができれば、志望校合格に向けて最短コースを走ることができるはずです。【理科の科目選択】ケース別おススメ科目の紹介では科目の特徴とは別に、どの理科科目を選ぶべきかケース別で紹介しています。そちらの情報も参考にした上で、自分に合った理科科目を見つけて、志望校合格へと一気に舵を切っていきましょう。

 

 

受験勉強を始めようと思って、塾・予備校を調べてみてもどこの塾が自分に合っているのかって分からないですよね?

実は、大学受験で第一志望校に合格するためには、どこの塾・予備校に通うかはそこまで重要ではありません。

というのも、100%合格させてくれる塾・予備校などこの世に存在しないからです。

むしろ、その塾・予備校の授業やシステム、スタッフを使ってどれだけ質の高い学習習慣を身に付けられるか合格はかかっています。

私は、過去に大学受験の塾・予備校2社で、生徒に指導を行ってきました。その中で、志望校に合格した生徒は皆例外なく、塾・予備校を使い倒すことで、質の高い学習習慣を身につけている人達でした。

彼らは、塾の自習室に毎日通ったり、分からないところを徹底的に講師に質問したりするなど、塾の費用以上に塾に価値を見出していたのです。

ただ、これは塾・予備校にそういった質の高い学習習慣を身につけられる環境があってこその話になります。

第一志望の大学に合格するためにも、まずはどの塾・予備校でどんな授業、どんなサービスを行っているのかを知ることは重要です。それを頭に入れた上で、ここでなら質の高い学習習慣を身につけられると思える、自分に合った塾を選びましょう。