受験で理科科目を使う場合、どの科目で受験するか悩む場合があると思います。科目選択は大学受験において合否を左右するほど重要な選択です。
実際、人によって科目の得意不得意や、点数のとりやすい科目とそうでない科目と分かれてきます。そこで、本ページでは、理科の科目選択の基本的な考え方と、それぞれのケースごとに分けたアドバイスを紹介していきます。
【理科の科目選択】化学・物理・生物・地学 どれが簡単?で各科目の特徴についても紹介しているので、そちらも参考にしてみてください。
理科の科目選択の考え方
基本は興味のある科目をやるのが一番
理科科目の選択に限らず、他の選択科目の場合においても、興味のある科目を選ぶことが一番重要です。当たり前のことですが、興味を持って勉強するのと、まったく興味を持てずに勉強するのとでは学力の伸びは大きく違ってきます。
そもそも興味がなければ、内容に対して「なぜそうなるのか」といった疑問が出てきません。疑問を持たないで、ただ知識を入れているだけでは頭に入ってこないし、やる気も起こらないです。
たしかに、「そっちの科目の方が点数をとりやすい」「あっちの科目の方が内容が少ない」といったことはあります。しかし、結局は興味のあるものの方が頑張れるし、結果も残しやすいのです。
実際、私が受験生だったときに、興味のない科目を選んで失敗した経験があります。私は、受験勉強を始めたばかりの頃に、化学と物理のどちらで国公立大の二次受験を受けるか悩んでいました。個人的には化学の方に興味はあったものの、模試で点数が良かったことを理由に物理を選択しました。
結果として、センター試験では物理よりも化学の方の点数が高く、二次試験でも物理の点数は合格者平均に届きませんでした。もちろん、物理の勉強時間が少なかったから点数が伸びなかったわけではありません。化学の倍以上の時間をかけて物理の勉強はしていました。
ただ、勉強しているときの姿勢を比べてみると、化学と物理で大きく差があったように思います。化学を勉強しているときは、「なぜそうなるのか」「他にどんな知識があるのか」と貪欲に勉強できていました。
逆に、物理を勉強しているときは、知識や問題の解法をただ頭に入れるだけの受動的な勉強になっていたのです。結局、そういった勉強の質の部分で、化学と物理で点数に差が現れたのだと思います。
このように、理科の科目選択をするときは、まず何よりも興味のある科目を選択するのがベストです。ただ、どの教科も興味を持てなかったり、逆にどの教科も面白そうと感じたりする人もいると思います。それらの場合に限ってケース別のおススメ科目を参考にしてみてください。
マイナーな受験科目を選択しても大学入学後は関係ない
「志望学科にあまり関係のない科目で受けて合格しても、入学後の授業についていけるか不安」という理由で理科の科目選択を迷う場合があります。
たしかに、機械系の学科であれば、物理受験の人が多く、化学受験の人は少ないですし、化学系の学科であればその逆です。
しかし、結論から言えばどの科目で受験しようと、大学入学後の心配をする必要はありません。たとえマイナーな受験科目で合格していたとしても、その大学に合格できたのであれば、入ってからの頑張りでなんとでもなります。
体験談として、私は物理を受験して化学系の学科に入学したのですが、その学科の約8割は化学受験の人で、入学当初は「化学の授業についていけないかも」と思ったことがあります。
実際、化学系の授業では、周りの学生が「これ受験でやったわ」というのを耳にしながら、「俺はやってないよ」とか思いつつ勉強をしていました(笑)
ただ、私は物理受験であることを理由に、化学系の授業で分からなかったところを友達に聞き、授業の単位をとることができました。逆に、物理系の授業では、化学受験で入った周りの友達に分からないところを教えてあげたのを覚えています。
結局、マイナーな受験科目で大学に入ったとしても入学後の心配は無用です。大学入学後にいくらでも勉強する時間はありますし、大学受験の苦労に比べたら気にする程のことではありません。
ケース別おすすめの理科科目
医学部志望の人の科目選択
生物と物理のどちらを取るべきか
医学部を受験する場合、大半の人が化学の他に、物理か生物のどちらかで受験をします。これから医学部受験の勉強を始める人にとって、物理と生物のどちらを選ぶべきかは悩ましい問題です。以下に医学部を受験する上での物理と生物の特徴について紹介します。
【物理の特徴は?】
よく医学部を受験する人へのアドバイスとして、生物よりも物理の方が高得点を狙いやすいという話を聞きます。実際、生物と比べて、物理の方が高得点を狙いやすいのは確かです。
生物では考察問題などの記述問題で満点がとりにくいのに対して、物理の問題は、答えの数式さえ分かれば簡単に満点をとることができるからです。そのため、うまく行けば高得点をとれますが、一方で失敗してしまうと逆に点数を落としてしまうリスクもあります。
どんな人が物理に向いているかは、数学の問題を普段どのように解いているかに注目すると分かります。解法のプロセスに注目せずに、解法を暗記するだけで問題を解いている場合は、物理に向いていない可能性が高いです。
物理は、身の回りで起こっている現象について数学的に理解していく科目になります。現象について正しく理解して、論理的に式を立てる力がなければ、物理の問題を解くことはできません。
高校で習う物理の場合、学校の定期テストや偏差値60位の大学の試験であれば、解法の丸暗記でも点数をとることはできます。しかし、医学部入試のように偏差値70以上のレベルになってくると、本来物理に求められる「現象の本質的な理解」が重要になります。
「なぜそうなるのか」「何が起こっているのか」を分かっていないと解けない問題が多くなり、そういった問題で周りと差がつくのです。
生物の特徴は?
医学部受験における生物は、実験の考察などの記述問題が多く、物理と違って高得点を狙うのが難しい科目と言えます。
記述問題で点数を取るためには、まずは実験内容や、問題で問われていることを100%正確に理解することが重要です。そのうえで、高校の生物の知識を使って、初見の実験や高校生物で習わないことについて考察し、答えを記述していかなければいけません。
仮に解答の内容の方向性が合っていたとしても、説明が不十分だったり、間違った言葉の使い方をしたりすれば、満点をとることはできないのです。
その一方で、生物の記述問題は、部分点を狙いやすいというメリットがあります。記述問題で満点となる解答を書くのは難しいですが、解答の方向性さえあっていれば、6~8割ほどの点数は簡単にとることができます。
つまり、高得点を狙いにくいものの部分点で点数を稼ぎやすいのが生物なのです。そのため、物理で点数をとる絶対的な自信がないのであれば、より安定して点数をとりやすい生物をおススメします。
私立理系(理科1科目)、高3の科目選択
早慶を除くほとんどの私立理系の大学は、英語・数学の他に理科1科目で受験することができます。そういった私立理系の大学を志望している場合、理科の科目選択は、上で説明したように、自分が興味を持てる科目であるかどうかが、重要になります。どの科目の平均点が高いかといったことよりも、自分に合う科目を選んだ方が確実に点数が伸びるからです。
ただし、理科の選択科目で生物や地学を選ぶ場合は、受験できる大学や学部が限られてしまうので注意が必要です。生物で受験できる学部は、農学・獣医・水産・バイオ・看護・医療系と限られてきます。また、地学に関しても、主なところで東大や筑波大学の生命環境群(2017年現在)しかありません。
特に、高2生で進路選択に悩んでいる場合、受験できる学部が多くなるように、化学や物理の選択をおススメします。
よくある例として、看護系か他系統の学問に進むかで迷っている人が、高3で生物を選択するか悩むケースがあります。その場合、進路の選択肢をなるべく広くするために、化学か物理のどちらかを選択した方が良いです。
化学か物理であれば、看護以外の道に進む場合に受験科目をカバーできる可能性が高くなります。さらに、看護系の道に進む場合でも、国公立などの一部の大学を除いて、生物を使わずに受験することができるため、看護系の道を閉ざされることもありません。
以上のように、生物や地学は受験できる学部が少ないため、進路選択が決まっていない場合には理科の科目選択に注意する必要があります。もし他の学部に受験を変更する可能性があるなら、さまざまな学部の受験科目に対応できる物理や化学がおススメです。
文系志望の理科基礎の科目選択
文系の人で理科を受験する場合、大半の人が理科基礎を選択します。物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目の中から選ぶことになりますが、理科基礎の各科目の受験者数は以下のようになっています。
過去のデータからは、生物基礎や化学基礎の受験者数が多いことが分かりますが、必ずしも生物基礎と化学基礎が有利とは限りません。このデータには理系の人も含まれており、薬学系や農学系の学部では、化学基礎や生物基礎が受験科目として指定されることもあります。
科目選択をする上で、基本的には興味の持てる科目を選ぶのが大前提ですが、文系志望の場合、どれだけ時間をかけずに点数をとれるかも大事になってきます。
そこで、理科基礎の中でどの科目が効率的に点数をとれるのか、どの科目がどんな人に向いているのか紹介していきたいと思います。
物理基礎
物理基礎は、理科基礎の中でも数学の要素が一番強い科目であることから受験者数が一番少ない科目です。
たしかに、数学が苦手で文系にしたという人には向かないかもしれませんが、数学に苦手意識がないのであれば、物理基礎はかなりおススメの科目です。基本的に物理基礎以外の理科基礎科目は、知識問題ばかりで、暗記にかなりの時間を割かなければいけません。
一方で、物理基礎は問題のほとんどが計算問題で、覚えなければいけない知識の数は他の理科基礎科目と比べて圧倒的に少ないです。そのため、計算問題でどのように公式を使うかが分かってしまえば、少ない勉強時間で簡単に点数をとることができます。
人によっては物理を解くセンスがないから自分には無理だと思っている人もいるかもしれませんが、物理基礎にはセンスは必要ありません。物理基礎の問題は、解法のパターンさえ覚えてしまえば簡単に解ける問題ばかりなので、十分な問題演習を積めば点数がとることができます。
文系だからといって最初から物理基礎を諦めるのではなく、よっぽど数学が苦手でない限りは、時間効率を考えると、物理基礎はおススメの科目です。
化学基礎
化学基礎は、理科基礎科目の中でも生物基礎の次に多くの人が受けていますが、化学が好きでない限りは、文系の人にはあまりおススメできない科目です。
その理由は、生物基礎や地学基礎と比べると、計算問題の難易度が高く、解けるようになるまで時間を要するからです。もちろん、物理基礎と同じように、化学基礎の計算問題も解法のパターンさえ覚えてしまえば解くのは難しくありません。
しかし、化学基礎の場合、物理基礎ほど計算問題が出題されるわけではないため、計算問題をとれるようになっても、点数を大幅に伸ばすことはできません。
また、化学基礎は、理科基礎の中でも生物基礎と並んで覚えるべき知識の多い科目です。そのため、化学基礎は、計算・暗記の両方の面で苦労しなければならず、化学が特別好きでない限りは、おススメできません。
生物基礎
生物基礎は、理科基礎の中でも受験者数が一番多い科目で、文系の受験者にも人気があります。実際、暗記で点数を取りたいと考えている文系の受験者にはおススメの科目です。
その理由は、計算問題の出題が毎年1問程度で、その計算自体も簡単な比の計算や、わり算かけ算であることが多いからです。しかも、2018年度の生物基礎の問題に関しては、計算問題が出題されませんでした。
さらに、生物基礎の内容は、化学基礎と比べれば、細胞や体の働きなど身近に感じられる内容であるため、興味を持って勉強できる人が多いはずです。
また、生物基礎は、実験の説明文や図表などがあり、他の理科基礎科目と比べて問題文が長く、問題文を正確に読み取る力が重要になってきます。普段、社会や国語の勉強で長い文章や資料の読み取りを行っている文系の人からすると、生物基礎はより文系よりの理科科目であると言えます。
なるべく計算問題を解きたくなくて、暗記で点数をとっていきたいと思っているならば、生物基礎はおススメの科目です。
地学基礎
地学基礎は、学校で習う人がほとんどいないため、理科基礎の中でも物理基礎に次いで受験者数が少ない科目です。たしかに、学校で習っていない地学基礎を独学で勉強するのは、よっぽど自分に自信がなければできることではありません。
けれども、地学基礎の内容を見てみると、他の理科基礎科目と比べて遥かに簡単であると断言できます。地学基礎は、計算問題がほとんど出題されず、出てくる計算問題と言っても、グラフを読み取る問題か、簡単な掛け算の公式がいくつかあるのみです。
また、地学基礎の内容は、中学で習う地学の内容に少しだけプラスαしたにすぎません。内容の半分ほどは、中学で習う知識であるため、中学理科の地層や天体の分野を覚えていれば、それだけで地学基礎の内容を知っていることになります。実際、地学基礎の勉強をせずに、中学理科の知識だけで4割とっている生徒もいました。
このように、地学基礎は、高校で習わないため敬遠されがちではありますが、内容自体は他の科目と比べて簡単なため、文系受験者におススメの科目であると言えます。
以上が、ケース別の理科のおススメ科目になります。各科目についての詳細は、【理科の科目選択】化学・物理・生物・地学 どれが簡単?で紹介しているので、そちらも参考にしてみてください。
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受験勉強を始めようと思って、塾・予備校を調べてみてもどこの塾が自分に合っているのかって分からないですよね?
実は、大学受験で第一志望校に合格するためには、どこの塾・予備校に通うかはそこまで重要ではありません。
というのも、100%合格させてくれる塾・予備校などこの世に存在しないからです。
むしろ、その塾・予備校の授業やシステム、スタッフを使ってどれだけ質の高い学習習慣を身に付けられるかに合格はかかっています。
私は、過去に大学受験の塾・予備校2社で、生徒に指導を行ってきました。その中で、志望校に合格した生徒は皆例外なく、塾・予備校を使い倒すことで、質の高い学習習慣を身につけている人達でした。
彼らは、塾の自習室に毎日通ったり、分からないところを徹底的に講師に質問したりするなど、塾の費用以上に塾に価値を見出していたのです。
ただ、これは塾・予備校にそういった質の高い学習習慣を身につけられる環境があってこその話になります。
第一志望の大学に合格するためにも、まずはどの塾・予備校でどんな授業、どんなサービスを行っているのかを知ることは重要です。それを頭に入れた上で、この塾でなら質の高い学習習慣を身につけられると思える、自分に合った塾を選びましょう。