「大学受験って、いつから塾や予備校に通ったらいいですか?」
このような質問を、外部からお問い合わせ頂いた生徒さんや保護者の方から毎年必ず受けます。
これまで大手予備校や個別指導塾で、東大志望から偏差値30台までの幅広い層の受験生を教えてきた私の答えは、
「入塾の時期に正解はありません」
です。私がこれまで見てきた中で、高1から大手予備校に入っていて合格できない人は過去に何人もいましたし、高3の9月にギリギリで入塾して合格する生徒もいました。
しかし不合格者のうち、塾や予備校にもっと早く通っていれば合格できたんじゃないかと思わせる生徒がほとんどなのも事実です。実際浪人が決まってから最初の数か月で、志望校の過去問で合格最低点を取れるようになった生徒も数多くいました。
その一方で、現役で合格できた生徒達も見てきて、入塾の時期を決める際に、たった1つの大切なポイントがあることに気が付きました。今回はそのポイントを元に、いつから塾や予備校に通うべきなのか、そのタイミングを考える方法を紹介していきます。
過去の合格者と自分の同時期の学力を見比べる
入塾のタイミングを見極めるうえで大切なことは、今の自分の学力や成績を、合格者の同時期と見比べることです。
多くの人は、自分の志望校に合格した先輩と同じ時期に入塾すれば、「先輩のように成功できる!」と考えてしまいます。しかし、受験で成功した先輩と同じ時期に入塾したからといって必ずしも成功できるわけではありません。
人それぞれで入塾したときの学力に差があるため、過去の合格者と同じ結果になるとは限らないからです。時期は関係なく、学力面で過去の合格者と同じスタート地点に立てているかを確認することが重要になります。
たとえば、自分の志望校に合格した先輩と入塾時の偏差値が10も違っていたら、同じ時期に入塾しても合格するのは難しいでしょう。この場合その先輩と比べて、同時期の学力に差があるのかを早い段階で知ることが重要になります。
もし自分の学力のほうが低いと分かったら、その先輩よりも早い時期に入塾した方が良いと判断できます。前もって早めにスタートを切ることで、合格者と同じ成績の上げ方を目指して勉強を進めることが可能です。
以上のように、「合格者が入塾した時期」ではなく、「自分と合格者の同時期での学力の差」を見る必要があります。現時点での自分の学力や成績を過去の先輩と比べることが、入塾の正しいタイミングを探る基準となるのです。
大学受験で入塾するタイミングを見極める3つの方法
今の自分と過去の合格者の同時期での成績を比べることが大切だと言いましたが、今度は具体的にどのように比べていって、入塾のタイミングを見極めていくのかをご紹介していきます。
外部の模試を受けて過去の合格者と比べる
大学受験では高校受験などと違い全国区での争いとなるため、日本中の受験生と比較したときの自分の学力を知る必要があります。
そこでおススメなのが、塾や予備校が行っている外部模試です。
外部模試は全国の受験生が受けるため、より正確に学力を測ることができます。過去に合格した先輩が受けた模試を受けて成績を比較できれば、より適切なタイミングで入塾することが可能です。
特に東進ハイスクールで行われているセンター本番レベル模試では、過去の合格者が1年前の同じ模試でどれだけ点数を取っていたかが分かるので、志望校の合格者が身近にいない場合でも、自分の立ち位置を知ることができます。
また、ベネッセマーク模試のような校内で実施される模試でも、合格した先輩の成績が分かれば大丈夫です。学校で行われる模試は大学受験をしない層の生徒も受けている関係で、偏差値は高めに出てしまいますが、合格者の成績と比べるだけなら問題ありません。
むしろ校内の模試は、定期的に行われることが多いので合格者の過去やその後の成績の推移も比較でき、いつ頃塾に通えば良いのかを検討しやすいです。
このような外部模試の情報を元に過去の合格者と成績を比べることは、塾や予備校に通うタイミングを決めるのに良い判断材料となります。
高校の合格実績から志望校に何人合格しているかを見る
塾に通うタイミングを見極めるのに手っ取り早い方法は、自分が通っている高校の合格実績から自分の学力を判断することです。
高校には学力や勉強習慣が自分と似ている人たちが集まっているため、高校の合格実績は今後の自分の学力がどこまで伸びていくのかを見る一つの目安となります。
たとえば、自分の高校から毎年数人しか合格しない難関校を志望した場合、その高校のトップ層しかその大学にいけません。学校で行われる模試や定期テストの自分の成績が同じくトップ層に位置していれば、上位層の先輩たちと同じタイミングで塾に通えば問題ありません。
しかし、今の自分の成績が上位にいないのであれば、過去の先輩達よりも早めに塾や予備校に通って受験勉強を始めた方がいいです。
もちろん、学年によって頭の良い年と悪い年があるので、高校の合格実績だけではザックリとした判断しかできませんが、塾に入るタイミングを簡単に見極められます。
塾や予備校に過去の合格者の話を聞きに行く
3つめの方法は、塾や予備校に話を聞きに行って入塾のタイミングを見極める方法です。
塾や予備校に行ってしまっては、相手からしつこく営業されるのが落ちだと思う人もいるかもしれません。しかし、塾の先生やスタッフは、学校の先生以上に多くの受験生を見てきています。
その経験から具体的な生徒の例を挙げて、今の自分と同じくらいの学力で過去にどんな大学に進学した人がいるかを教えてくれます。それらの情報から今の自分の勉強習慣や学力を合格者と比べることができるのです。
実際、私が高2生で塾や予備校を探しているときに、ある塾に話を聞きに行ったことがあります。そこで、その塾のスタッフから私の高校の先輩で私の志望校と同じレベルの大学に合格した人の話を聞きました。
その先輩は高1のときからその塾に通ってコツコツ受験勉強をして、高2の私と同時期のその先輩の成績を比べると、外部模試の成績では全科目の合計で150点以上もの差があることが分かりました。
当時はその話を聞いて、「俺、勉強しなきゃヤベーじゃん!」と焦っていたのを覚えています。ただし、家から遠いことを理由にその塾には入らず、近くの予備校に入塾しました。
(もともとその塾には友達から一緒に行こうよと誘われただけで、あまり入る気はありませんでした…)
ですが、その先輩の話を聞いたおかげで、早く塾に入って勉強しなきゃという意識が芽生えて良かったと思っています。
私のように入る気がないのに、塾に話を聞きにいくのは気が引ける人もいると思います。
話を聞きに行くときに入塾を考えていなくても全く問題ないので、積極的に塾や予備校に行ってください。「今回は話を聞きに来ただけです」と言えば、塾や予備校は今後の見込み客として丁寧に話をしてくれます。
以上のように、学習塾にいつ通うかを考える場合は、過去の合格者の同時期と自分自身を比較することが重要です。
実際に比較するには、以下の3つの方法があります。
- 外部の模試を受けて過去の合格者と比べる。
- 高校の合格実績から志望校に何人合格しているかを見る
- 塾や予備校に過去の合格者の話を聞きに行く
他の人が通塾するまで様子を見ていたり、受験に成功した先輩の入塾時期に単純に合わせたりしても志望校には合格できません。
第一志望校へ合格するためには、自分の実力を把握し、塾や予備校に最適なタイミングで入塾しましょう。
当サイトでよく読まれている記事3選