「自分でしっかり勉強ができれば、塾や予備校に通わなくても大丈夫じゃないか」と考える人は多くいると思います。本当に独学だけで大学受験を乗り越えられるか判断するためには、塾や予備校で得られて独学ではできないことを考えるのが大事です。
受験勉強をしていると、どうしても独学では対応しきれない部分が出てきます。そのときに学校が塾や予備校の役割を果たしてくれればいいですが、そうでない場合に、どのように対処していくのかを吟味しなければいけません。
本ページでは、独学でやっていく際にネックになるであろう2つのことを紹介していきます。これらは、塾や予備校に通えば解消できますが、自分一人ではなかなか解決しない問題です。今後独学で大学受験の勉強をするか迷っている人はぜひ参考にしてみて下さい。
独学では記述問題の対策が難しい
独学で受験勉強していく上で、難しいのが記述の答え合わせです。知識を身に付けることは自分一人でもできますが、記述問題を丸付けするには塾や予備校の力が必要になってきます。
形の上では解説を見ながら自分で添削もできなくはないですが、自分の間違えた箇所を完璧に直すのは至難のわざです。
というのも、記述式の問題を添削するときに、模範解答や解き方は載っているものの、自分がどこで間違えたかは載っていないからです。
たとえば、自分で作った英作文の解答で「watch」「see」「look」などの「見る」という動詞の使い分けが間違っていても、解説を読んでその間違いに気付くことはほとんどありません。
参考書には模範解答の例文や構文の使い方などがよく掲載されていますが、「見る」という動詞の使い分けは絶対に載っているとは限らないからです。英作文を書いている最中に、「見る」の動詞の使い方に疑問を持たなければ、絶対にスルーされてしまいます。
この話を聞いて、学校の先生に頼めば問題ないのではと考えている人もいるかもしれません。しかし、学校の先生は他の業務で忙しかったり、志望校によっては先生の指導力不足で添削できなかったりする場合があります。
私が受験生だったときに英作文の添削を学校の先生に頼んだことがありましたが、平均で1週間くらいかかって返却されました。添削指導自体には不満はありませんでしたが、先生が不在で返却が遅かったり、他の生徒がいて順番待ちになったりして、添削のテンポが悪かったのが印象に残っています。
他にも塾や予備校に通わずに、Z会などの通信教育で添削指導を受けるのも手ですが、その際にも注意すべきことがあります。
通信教育では紙面上で先生とやりとりをするため、人に直接添削してもらうよりもコミュニケーションをとるのが難しく、添削者や自分の意図が伝わらなことがあるのです。
たとえば、図形の証明問題では、自分の書いた証明の条件がバツになっていたものの、ダメな理由が書いていなくて何が間違っていたのか分からないといったことが起こります。
これは、添削者の文章作成能力が低いか、自分自身の学力が低くて書いてあることが理解できないかのどちらかです。塾や予備校に通っていれば、先生に直接添削してもらえるので、コミュニケーションの不具合は少なくなります。
以上のように、添削指導が必要な記述問題については塾や予備校での指導が必要になります。特に、2021年から行われる大学入学共通テストや志望校の記述式の問題で点数を取りたいと考えている人は、記述のやり方など細かなところで点数が大きく変わってきます。
知り合いや学校の先生に頼んで事足りるなら問題ありませんが、必要と感じたならば塾に通って対策することをおススメします。
② 他の受験生と自分の勉強を比べることができない
独学で勉強する場合は基本的に一人で勉強しなければいけないので、周りの人たちが「どのくらい勉強しているか」「どのような勉強をしているか」を知ることはできません。そのため、自分の勉強の量や方法に自信が持てず、本当にこのままで大丈夫なのだろうかと不安に駆られることがあります。
塾や予備校に通えれば、他の生徒と比較することでモチベーションの維持につながり不安を最小限に抑えることができます。
特に自分の志望校よりも偏差値が高い大学を目指していて実際に模試などで結果を出している人と比較することで、おのずと勉強量も増えていき、自分の勉強に対して自信を持てるようになるはずです。
これは、マラソンの「ペースメーカー」と似ています。「ペースメーカー」とは、マラソンのレースの中である地点まで決められた速度で走る人のことを言います。選手たちはその「ペースメーカー」を見て自分の走りのスピードを確認することで、自分の走るペースを乱さずに走れるので好タイムを出しやすくなるのです。
勉強のペースメーカーとなる人物を自分よりも志望校や偏差値の面でレベルの高い人に設定し、同じように勉強することができれば志望校に合格する可能性は高まります。
学校などの身近にいる人を勉強のペースメーカーにおいても構いませんが、その場合はその人と一緒に勉強している時間が長くなければ意味がありません。ターゲットとしている人物が放課後は塾に行ってしまい何をしているか分からない状態では、学校以外での勉強を比較することができないからです。
その点、塾や予備校であれば放課後はもちろん、夏休みなどの長期休みでも比べることができるので、常に自分と比較しながら勉強できるはずです。
独学で勉強しようとしている人の多くは自分一人でも勉強できると思いますが、受験勉強のような長期戦になると、それがキツくなってくることもあります。独学で勉強のモチベーションを維持できるか分からないと少しでも感じている人は、塾や予備校に通って勉強のペースメーカーとなる人を探すべきです。
まとめ
ここまで、独学でやっていく際にネックになるであろう2つのことを紹介してきました。
独学で勉強することを全否定するような感じになってしまいましたが、全くそんなつもりはありません。自分一人で勉強していって志望校に合格できるのであれば、金銭面で保護者の方に迷惑は掛からないし、不可能なことではないと思います。
しかし、独学で勉強するにしても、塾や予備校に通うにしても、志望校に合格するための手段でしかありません。
自分の目指している大学に行くために、最適な手段をとることが重要です。独学で勉強していくのか迷っているのであれば、「志望校に合格できる最善策は何か」を、今回紹介した2つのことも含めて考えてみて下さい。
- 独学では記述問題の対策が難しい
- 他の受験生と自分の勉強を比べることができない