東進やマナビスなど、映像授業をカリキュラムの中心にしている塾は数多く存在します。その中で、映像授業と個別指導を融合させたのが大学受験専門塾 ディアロです。
今回は大手予備校や個別指導塾でこれまで1000人以上の受験生を指導してきた私の経験を元に「ディアロがどんな塾なのか?」をご紹介していきたいと思います。特徴やメリット、デメリット、また通塾にかかる費用についてまとめてみました。
ディアロとは一体どんな塾なのか
Z会の映像授業を見ることができる
ディアロは、通信教育のZ会と個別指導塾の栄光ゼミナールが共同で作ったもので、Z会の教材と栄光ゼミナールの指導ノウハウを良いとこ取りしたような塾です。
そのため授業の進み方は、「映像授業」→「個別指導」となります。
映像授業ではZ会の教材を使用していますが、映像はディアロ独自のもので、Z会で同じものは受けられません。授業のイメージとしては、Z会で使っている教材の解答解説が映像になって、より分かりやすくなった感じです。
授業の種類は、様々なレベルの受験生や志望校対策に対応できるよう数多くの授業があります。
上の写真は数学の講座の一覧表を写真で撮ったときの一部分です。著作権の関係上、文字が見えるようには出せないのですが、講座数の多さは何となくお分かり頂けたでしょうか。
授業1コマあたりの平均時間は90分ほどで、長くても120分ほどになります。授業を進めていくペースは、1週間あたりに1科目1~2コマくらいで進めていくのが基本的なスタイルとなります。
東進ハイスクールや河合塾マナビスと違う2つのポイント
① 1週間で受けるコマ数は少なくてOK
東進やマナビスでは、1週間にたくさんの授業を受けるように言われる一方で、ディアロでは1週間の間であまり授業を受けすぎないようにと言われます。
その理由は、映像授業を受けた後の復習を大事にしているからです。無暗に授業を受けるのを良しとせず、授業後の学習を重要視しているのがディアロの特徴です。
② 自宅で授業を受けるよう勧められる
ディアロも東進やマナビスと同様に自宅で映像授業を受けることができます。基本的に東進やマナビスでは通っている校舎で授業を受けるよう促されますが、ディアロでは自宅で授業を受けるように言われます。
もちろんディアロでも各教室で映像授業を受けられるのですが、教室はあくまでも個別指導をする場となっているからです。家で授業を見て、塾で個別指導を受ける流れがスタンダードとなっています。
授業の雰囲気やテキストがどんな感じなのかもっと知りたい方は大学受験 ディアロの評判は本当なの?体験授業をレポートでまとめたので、そちらもご覧ください。
栄光ゼミナールのノウハウを生かした個別指導がある
ディアロの特徴として、映像授業の後に「トレーニング」と呼ばれる個別指導のサービスがあります。トレーニングとは、映像授業を受けた後に大学生の講師(トレーナー)と1対1で授業の内容を確認していく補習のようなものです。
トレーニングの一連の流れは下の図のようになっており、ホワイトボード付きの専用ブースで行われます。1回のトレーニングにかかる時間は40分です。
それでは、各ステップについて1つずつ説明していきます。
STEP1 課題・テーマ確認・タイムトライアル確認テスト
トレーニングでは、映像授業を受けた後に、まずトレーナーの講師と映像授業で習った内容の確認を行い、10分間の確認テストを行います。
確認テストの問題はトレーナーがテキストや参考書などを見て独自に作った問題です。トレーナーは基本的に担当制なので、その生徒の学力に合わせた問題を確認テストに出してくれます。
STEP2 対話式トレーニング
確認テストの採点を行ったのち、間違えた内容をトレーナーと一緒に見ていく「対話式トレーニング」という時間があります。このとき、トレーナーは間違えた問題の答えをすぐには教えてくれません。
この対話式トレーニングでは、トレーナーは問題の答えを教えるのではなく、あくまでも生徒が答えを出す手助けをするだけで、生徒自身の頭で考えることを大事にしています。
いわば、学校の先生のように一方的に話をしていくティーチングの指導ではなく、生徒に質問しながら進めていくコーチングの指導をしてくれるのです。基本的に、トレーニングの時間の半分くらい(20分ほど)は対話式トレーニングに時間が割かれます。
STEP3 解答プレゼン
対話式トレーニングの後は、その時に学んだことをトレーナーに説明していく「解答プレゼン」と呼ばれる時間があります。トレーナーと生徒の立場を逆にしてホワイトボードを使いながら、生徒自身に学んだことをプレゼンしてもらいます。
実はこの「解答プレゼン」の時間が、ディアロ最大の強みです。
その理由は、モノを覚えるときに一番大切なことが学んだことをアウトプットすることであり、こういったサービスは他ではやっていないからです。
他の予備校や塾では授業を受けさせるだけで、その後のアウトプットは「自分で勝手にやってください」状態のところが多くあります。そのため同じ授業を受けていても、自分で勉強ができる人だけが偏差値を伸ばせて、できない人はそのまま偏差値が上がらないのです。
しかし、ディアロでは授業を受けさせるだけでなく、その先のアウトプットまで見てくれるので、効率の良い勉強が可能となります。偏差値を上げるのにアウトプットの指導はめちゃくちゃ重要なのですが、今までの塾や予備校がやってこなかったことをディアロはやっているのです。
STEP4 学習カウンセリング
最後に、次のトレーニングまでの課題をトレーナーとともに確認する学習カウンセリングと呼ばれる時間があります。学習カウンセリングでは、次のトレーニングまでに何を勉強してくるのか、トレーナーと生徒で話し合って決めていきます。
ここでは、きちんとした計画表を作るというよりは、トレーナーと話して何をしていくかを簡単に確認をしていくイメージです。
トレーニングを受けられる時間
トレーニングは1回40分×月4回で1講座となり、講座ごとに毎週レギュラーの時間を決めて行います。
下の表はディアロ三鷹校に実際に体験授業を受けに行ってもらった時間割表です。★のついているところが、トレーニングを受けられる時間となっています。ただし、各教室で時間割が違う可能性もあるので、あくまでも目安として見てください。
★のついている時間でも、教室のブースの数と予約者の人数によってトレーニングが受けられない場合もあります。ちなみに、私が見学に行った三鷹校には8つほど専用のブースがありました。
トレーナーの人数も教科によっては不足している可能性もあります。希望した時間にその教科を教えられるトレーナーがいない場合はトレーニングを行えません。
実際、学校帰りや部活後に寄れる7限~10限の時間はすぐに埋まってしまうようなので、入塾を考えている場合は早めに体験授業に行って希望の時間が空いているかを確認した方が良いです。
また、基本的には映像授業を1コマ受けて1トレーニング行っていきますが、2コマ受けて2コマ分の内容を1トレーニングで行うことも可能です。ただし、英語と数学といったように、違う科目の授業を1つのトレーニングでまとめて行うことはできません。
トレーナーについて
トレーナーは科目別で専門の人がおり、入塾すると教科ごとに担当のトレーナーがつきます。講座をとっていない科目にはトレーナーはつきません。同じ科目でもトレーニングが2回ある場合には、それぞれのコマで担当のトレーナーが分かれることもあります。
トレーナーの大半は大学生ですが、対話式トレーニングでコーチングの指導ができるように研修を受けています。そのため、トレーナーとの相性などで当たりハズレはあるかもしれませんが、トレーナーの質の最低ラインは保たれています。
また、トレーナーとは別に正社員のスタッフがおり、各生徒に担当のスタッフがつきます。どの映像授業を受けるのかや進路指導など勉強の方針を決めるのが役目です。
授業の雰囲気やテキストがどんな感じなのかもっと知りたい方は、大学受験 ディアロの評判は本当なの?体験授業をレポートでまとめたので、そちらもご覧ください。
ディアロの授業料はどのくらい?
次に、みなさん気になるディアロの授業料について詳しく説明していきます。
大学受験対策でディアロに入塾する場合、「【大学受験対策】映像&個別トレーニングコース」をとることになります。
【大学受験対策】映像&個別トレーニングコースの受講料は下の表の通りです。
1講座あたりの月謝が、
高3生 | 2,2000円 |
高2生 | 2,1000円 |
高1生 | 2,0000円 |
となります。
たとえば、高2で英語を2講座とる場合は、月謝が「2ヵ月×21,000円=42,000円(税抜き)」になります。ただし、別に入会金として30,000円(税抜き)が必要です。
月謝の中に維持費や教材費などの諸経費が含まれているので、非常に分かりやすい料金設定になっています。
ここで注目なのは、とった講座数に関係なく、とった講座の科目であれば映像授業が見放題であることです。一般的な塾や予備校では、映像授業の受講数で塾の費用は決まります。
ですが、ディアロではトレーニングの数で月謝が決まるので、受講科目の映像授業はいくらでも見れます。英語の講座をとってしまえば、ディアロの英語の映像授業はすべて受け放題なのです。
ここまでの説明でディアロの料金体系はお分かりいただけたでしょうか?
次に、ディアロに通った場合に一年間でかかる費用についてシミュレーションを行ってみました。
EX1)私立文系のAさんの場合
Aさんのスペック
MARCH志望で英語が大の苦手。偏差値60の地元公立高校に通っており、バレーボール部に所属。部活の引退時期は5月。高2の3月にディアロに入塾。
Aさんの各月の講座数と状況
※「英2」は英語を2講座とるという意味で、社会と国語も同様です。たとえば、4月のAさんのとっている講座は、英語が2講座、社会が1講座の計3講座なので、週3回のトレーニングがあることになります。
※ 費用についても上で紹介した料金表に照らし合わせて算出しました。
EX2)国立理系のBくんの場合
Bくんのスペック
東工大志望。毎年5名ほどの東工大合格者が出ている私立男子校に通っており、成績は中。バトミントン部で引退は6月。物理、数学は得意だが、化学は苦手。高2の3月にディアロに入塾。
Bくんの各月の講座数と状況
※ 表の見方は、Aさんの例と同様です。
※ こちらも同様に上で紹介した料金表を元に費用を算出しました。
以上がシミュレーションをしてみた結果です。どちらのシミュレーションも講座数を若干多めに設定したので、平均でかかる費用よりも少し高くなったかもしれません。もちろん、人によってはもっと講座数が増えたり少なくなったりする場合もあります。
東進やマナビスと比較すると、安くもなく高くもなく同程度の費用だと思います。
もっと費用を抑えて通いたい場合には、1教科あたりトレーニング数を1つだけにすれば安くできるでしょう。
自分が通ったら、どのくらいの費用になるか気になる方は、実際にディアロの教室に行って確かめてみることをお勧めします。
塾講師から見たディアロのメリット
ディアロにしかない授業後の理解度チェック
先ほども説明しましたが、ディアロの最大のメリットは、映像授業の後のアフターフォローが他の予備校よりも圧倒的に優れていることです。ディアロのようにトレーナーを使って、生徒の内容理解をチェックしている塾は他にありません。
もちろん、東進やマナビスといった映像授業を売りにしている大手予備校にも、授業内の理解度を測るテストはあります。しかし、そういったテストは再テストをしたり、テキストを見たりすることで、簡単にパスできる内容のものが多いです。
そのため、授業の内容を理解しないまま次のコマに進んでしまう生徒が多く、授業をたくさん受けたものの結局成績が上がらないケースがよく見受けられます。
一方のディアロではトレーニングで授業の理解度を確認するため、内容があやふやな状態で先に進むことはほとんどありません。
さらに、「解答プレゼン」を通じて今までの予備校にはなかった形式で生徒にアウトプットをさせています。生徒がトレーナーの前で教わった内容を自分の言葉で説明することで、内容の定着度が高まるのです。
自分の言葉で話すことにより理解度が深まることは、勉強以外でもよくあります。部活などで後輩にアドバイスをしていて、改めて自分でも基礎基本を再確認した経験がある人はいると思います。
それと同じような効果をディアロの「解答プレゼン」では狙っています。もし習った内容を間違えてアウトプットしてしまっても、トレーナーが修正してくれますし、合っていればその知識がより確固たるものになるのです。
「習ったことを自分で説明するなんて無理だろ!」って思った人もいるかもしれませんが、トレーナーが上手に質問しながら聞き出してくれるので、先生からの質問に答えるような形で話すことができます。
豊富で質の高い映像授業が実質見放題
ディアロのもう一つのメリットは、各教科でトレーニングの講座を取ってしまえば、映像授業が実質見放題になる点です。先ほども説明したように、ディアロの映像授業はZ会の教材を使っており、さまざまなニーズに対応できるよう種類も豊富です。トレーニングを1講座取るだけで、その科目の授業が受け放題なら取らない手はありません。
東進やマナビスのような大手予備校なら、映像授業のコマ数で料金が変動します。そのため受ける授業も慎重に選ばなければいけませんし、「やっぱ違うな」と思って途中で見るのをやめたとしても料金がかかってしまいます。
ディアロであれば授業が見放題な分、途中でやめたとしても料金はかかりませんし、いろんな授業を厳選しながら自分にあった授業を探せるのです。
実際私が大手予備校で働いていたときに、映像授業の選択をミスしてしまい、ムダ金を払ってしまった生徒を何人も見てきました。こういったケースのほとんどは、どの授業を受けるかきちんと厳選して決めていれば防げるものばかりです。
ディアロではそういった心配は必要ないので、他の大手予備校と違って、かなり良心的な塾だと思います。
塾講師から見たディアロのデメリット
塾が休みの日は塾以外の場所で勉強しなければいけない
ディアロでは教室にもよりますが、基本的に日曜日と月曜日が休みになっています。塾が空いていない日は、家で勉強するか他の場所で勉強するしかありません。
勉強する上で環境は勉強の質に大きく関わってくる重要な要素になります。実際、塾に来れば勉強できるが、家だとまったく勉強が手につかないという人は多いでしょう。
そういったタイプの人は、カフェや図書館などの勉強できる場所を見つけておく必要があります。
特に学校があるうちは、日曜日は勉強時間を大量に確保できる貴重な時間となります。日曜日に塾が開いていないからといって、だらだらと過ごしてしまうような人はディアロには向いていないでしょう。
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まとめ
ここまでディアロの特徴や料金、メリット、デメリットについて紹介してきました。何回も説明してきましたが、映像授業に力を入れている塾は他にもたくさんあります。しかし、ディアロのように映像授業のアフターフォローにここまで力を入れている塾は他にありません。
映像授業だけでは、あやふやな理解のまま進んでしまいがちですが、ディアロのトレーニングはそれを防いでくれます。さらに、トレーニングの講座さえとれば、その科目の授業が実質受け放題なのも他の大手にはない強みです。
映像授業の塾や予備校を考えていて一つ一つの授業を大切にしていきたい人であれば、ディアロは間違いなくおすすめです。
ただ、本当に自分に合っている塾なのかは実際に足を運んで行ってみないと分かりません。もし迷っているならば、きちんと体験授業を受けてみて自分の目で合っているかをぜひ確かめてみましょう。
受験勉強を始めようと思って、塾・予備校を調べてみてもどこの塾が自分に合っているのかって分からないですよね?
実は、大学受験で第一志望校に合格するためには、どこの塾・予備校に通うかはそこまで重要ではありません。
というのも、100%合格させてくれる塾・予備校などこの世に存在しないからです。
むしろ、その塾・予備校の授業やシステム、スタッフを使ってどれだけ質の高い学習習慣を身に付けられるかに合格はかかっています。
私は、過去に大学受験の塾・予備校2社で、生徒に指導を行ってきました。その中で、志望校に合格した生徒は皆例外なく、塾・予備校を使い倒すことで、質の高い学習習慣を身につけている人達でした。
彼らは、塾の自習室に毎日通ったり、分からないところを徹底的に講師に質問したりするなど、塾の費用以上に塾に価値を見出していたのです。
ただ、これは塾・予備校にそういった質の高い学習習慣を身につけられる環境があってこその話になります。
第一志望の大学に合格するためにも、まずはどの塾・予備校でどんな授業、どんなサービスを行っているのかを知ることは重要です。それを頭に入れた上で、ここでなら質の高い学習習慣を身につけられると思える、自分に合った塾を選びましょう。